白梅が  咲いていた。

  

こんなに 寒いのに   


風も冷たいというのに。

  

あの白梅は  樹齢 何年くらいなのだろうか。 

 

人間は 

 

人間に限らず  動物は

  

年齢を  重ねていくと   

 

外見はもとより   

 

悲しきかな  中身も 少しずつ  衰えていく。 

 

    限りある生命で  

  

動くことを 許された生き物だから

 

それは 

 

とても自然なことなのかもしれない。 

 

けれど  白梅は

 

樹齢という 年齢を  重ねても  

 

重ねた分の  

 

何通りもの 枝ぶりや  樹木には 

 

幾年の 時が  流れようとも 

 

目を見張るような  白い花を  咲かせてくれる。 

 

それは

 

「植物」 という  「動かない生き物」 ならではの

  

特権なのかな。 

 

年齢を

 

重ねるごとに

 

白い花を  少しずつ  身に纏い 

 

その美しさには 

 

  終わりがない。 

 

樹ごと 切り倒されそうになったことも

 

あったでしょう。 

 

汚い二酸化炭素を  吸い続けることも

 

あったでしょう。

  

たくさんの梅林を離れ  移植されたことも

 

あったでしょう。

  

それでも

  

毎年  樹齢を

 

重ね 重ねても

 

白い花を  咲かせ続ける  

 

美しさに 

 

樹木であることへの 

 

誇り と 尊さを  感じる。 

 

動くチカラを 与えられた  私達 人間という「動物」は 

 

その 白梅でいうところの  

 

白い花の かわりとなるようなもの 

 

白い花という

 

「見た目の美しさ」ではなく

  

有限のイノチの中にしかない

  

白い花に 値するような

  

誇り や 尊さ  といったもの

 

動物だけが 

 

残していくことの できるもの  が 

 

あるのではないかと。

  

春を 

 

ひとあしはやく

 

伝えようとしてくれた白梅から 

 

そんな 宿題を  告げられた 日。

 

 

「 樹齢 と 年齢 」

mikan 

 

 

photo : 雨 飾

 

 

2009.02.02