2001.08.03-05

毎年恒例の東北の山、今年は最北の八甲田に行って来ました。
長野からは遠く移動にかなりの時間を要するので今回は酸ヶ湯温泉
から八甲田連峰最高峰の大岳に登ってきました。去年の鳥海山と同じく
高校からの友人E氏と行動を共にしました。

8/2夜、長野の自宅を出る。途中東京の実家に寄り、仮眠をとったあと8/3早朝近くまで迎えに来た、E氏と一路東北へ!しかし東北自動車道を青森まで行くのは遠い。仙台を過ぎてもまだ半分の標識が・・・(^^;)それでも秋田県内の小坂インターに着いたのは午後1時頃。天気は曇り。ここから十和田湖方面に向けて国道103号を車で上がる。だんだん霧が濃くなり何も見えない状態(T_T) 発荷峠は十和田湖のカルデラの縁で駐車場や売店もある。展望台に登ると十和田湖が雨に煙って見えた。
雨に煙る十和田湖
十和田湖畔高村光太郎作・乙女の像

発荷峠から湖畔に下りて中山半島の付け根にある「乙女の像」を見る。
最近「智恵子抄」を読んでいたので興味深く見させてもらった。
高村光太郎が練習用に作成した作品が小さいが私の地元の穂高にある碌山美術館にもある。
雨の奥入瀬渓流

その後、十和田湖から流れ出ている奥入瀬渓流を見に行く。ちょうどこの日の目的地である酸ヶ湯への通り道でもある。
雨にも関わらず、有名なだけあって観光客も多い(^^;)
それでもカメラを濡らしながらフィルム1本分撮影。やはり「瀬」になっている所が美しい。惜しいのは自動車道と遊歩道が近すぎるところか・・・
酸ヶ湯温泉・看板

酸ヶ湯温泉に着く頃も雨はやまず、ますます激しくなっていたのでテントを張るのが億劫になったきた(^^;) ダメもとで温泉旅館に部屋の空きが無いか聞いてみたところ大部屋だったら可とのこと。素泊まりで泊まることにした(¥3000)。
酸ヶ湯温泉・廊下
真っ直ぐじゃないのです

宿は木造で歴史を感じさせる古い建物。古くからの湯治場の雰囲気は信州周辺では見られない光景だ。長期間滞在出来るように大部屋の近くには自炊出来るような施設もあり、何でも売っている売店まである。
泊まった大部屋のある建物

ここから千人風呂と呼ばれる浴場までは長い曲がった廊下を50m?は歩く
(^^;) しかし24時間入れるので4回も入りに行ってしまった。
酸ヶ湯温泉から大岳への登りはすぐにブナ林になります

翌朝(8/4)も雨模様(T_T)
8時を過ぎても雨がやむ気配がないのでせっかくここまで来たのだからと大岳へ向けて歩き出す。山の支度をしているとこの天気で登山を諦めた人からこの天気なのに行くの?と声をかけられた(^^;)
これが近くの山だったら私も諦めただろう・・・
ブナの巨木があちこちに・・・

登山道は酸ヶ湯温泉の裏手から階段の登りで始まる。いきなり熊が出たので注意の看板が・・・(^^;)

すぐブナの森の登りである。雨や霧で森が幻想的である。
毛無岱湿原

1時間ほど歩くと毛無岱と言われる湿原に出る。「岱」とは山奥の平らな所と言う意味らしい。ついでに八甲田の「田」は湿原が多くこれを神の田圃と呼んでいるからだとか・・・
毛無岱湿原を黄色く染めるキンコウカ

湿原はキンコウカの黄色い花で埋め尽くされていた!
紫のタチギボウシもあちこちに咲いていて嬉しい。ここまで来ると時折青空ものぞき来て良かったと思う。
キンコウカ拡大

キンコウカやタチギボウシには雨で水滴がついていて綺麗。
最近買ったマクロレンズで撮っていると天気が悪くても楽しい。
毛無岱にはタチギボウシも多いです
大岳鞍部への登りから見た一瞬の晴れ間

毛無岱は下毛無岱と上毛無岱に別れている。標高1000mちょっとなのにハイマツも生えていて高緯度に来ている事を実感させられる。

湿原を後に井戸岳と大岳鞍部まで再び樹林帯の登り。青空が出てきて大岳の火山特有の曲線が見える。
大岳鞍部避難小屋 山スキーヤー御用達?
立派な小屋です
スキーの道具置きっぱなしでした(^^;)


大岳まで30分の所に立派な避難小屋があり休憩する。ここまで来るとロープウエー方面から来た人達が往来していてちょっと賑やか。
そう言えば今まで誰にも人に会っていなかった。
大岳への登りから見た井戸岳
噴火口の跡がいかにも火山らしいです


小屋から大岳への登りはハイマツ帯に変わり高山的な雰囲気。後ろを振り返ると井戸岳の噴火口跡がよく分かる。友人のE氏とも火山は面白いなどと話していた。
大岳山頂にて

八甲田大岳山頂1584mは八甲田連峰最高峰である。晴れていれば北は北海道から南は去年行った鳥海山まで見えるらしいがこの日は生憎の天気。しかし時々雲が切れて周辺の山を見ることが出来た。八甲田の山々は皆綺麗な円錐形。大岳山頂にも火口跡がある。やっぱり火山(^^;)
大岳山頂直下の鏡池

大岳から仙人岱に向けて下ると小さな鏡池がある。ここも噴火口の一つらしい。ここにはサンショウウオも生息しているらしい。
仙人岱付近のハッコウダシオガマ

仙人岱に下りるとお花畑が広がっている。谷状の地形で遅くまで残雪があるようだ。チングルマも遠くに咲いているのが見える。
ミヤマリンドウ(仙人岱付近)

初秋の花も見られた。
八甲田清水

お花畑を過ぎると踏み荒らしで裸地化してしまった湿原跡に出る。
ここの中心に八甲田清水と言われる泉がある。写真の様に木の枠で囲ってあって中を覗いてみてもどこから湧いているのか見えない。しかし枠に差し込んである管からはコンコンと水が出ている。不思議。
地獄湯の沢

ここから少し下ると地獄湯の沢と言われる硫黄臭がする谷に出る。
地面も白や黄色で植物もなく死の世界。
ここから暫く樹林帯の下りであるがいきなり森が無くなったような場所もあって驚く。ここも突然の火山性ガスの噴出などで植物が枯れてしまったのであろう。やはり火山は面白い。
酸ヶ湯下山
熊注意の看板が・・・(^^;)

この日は麓の温湯温泉に宿泊。青森市ではねぶた祭りだったようだがここでも「ねぷた」祭りをやっていた。
青森上空から青森市街・陸奥湾
遠く北海道・・・


8/5は空路で羽田まで。E氏は夏期休暇でもう暫く東北に残って山にも登るのだと言う。羨ましい。私は明日から仕事であった(-_-)

帰りの飛行機からは東北の山々が総出演であった。
去年行った鳥海山も見えて感激する。来年行く予定の飯豊連峰の雪渓もはっきり認めることが出来た。